仮想通貨・暗号資産の確定申告 Q&A
お答えします
その年に実現した利益から取得価額や手数料を引き、残った所得が20万円を超えていれば申告が要ります。日本円に出金していない年でも、他の暗号資産への交換や商品の決済で利益が実現していれば、この20万円に足します。
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一解説
暗号資産の取引で生じた所得は、原則として雑所得になります。国税庁もタックスアンサー1906で、暗号資産の売却等による所得を給与所得者の副収入の例に挙げています。所得税法121条1項1号が合計する八つの所得に雑所得が入っていますので、この利益は20万円の合計に足します。
利益が実現するのは、日本円に換えた時だけに限りません。所得税法36条1項は、金銭以外の物や権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その価額を収入金額とすると定めています。ビットコインをイーサリアムに交換した時も、暗号資産で商品を買った時も、その時点の価額で利益が計算されます。
取引所の口座に置いたまま年を越しても、年内に交換や決済をしていれば、その分は実現した利益です。通帳の入金額を見ているだけでは、この分が抜け落ちます。
20万円と比べるのは、売却額や交換時の価額から、その暗号資産の取得価額と取引手数料を引いた後の所得です。年間の取引をすべて集計し、利益と損失を通算した残りで判定します。
年をまたいで持ち続けている分の含み益は、まだ実現していませんので合計に入りません。したがって、判定に要るのは年内に手放した分の記録です。
取引所の年間取引報告書や取引履歴は、ダウンロードできる期間が決まっています。口座を解約したり取引所がサービスを終えたりすると、後から取得価額を復元できなくなります。年内に取得しておいてください。
同じ投資の利益でも、証券口座の株とは扱いが分かれます。タックスアンサー1900は、20万円を判定する所得の合計に含まれないものとして、特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で確定申告をしないことを選択したものなどを挙げています。源泉徴収ありの特定口座で完結させた株の利益は、この合計の外側にあります。
暗号資産の取引には、この源泉徴収の仕組みがありません。取引所が税金を差し引いていませんので、利益はそのまま20万円の合計に入ります。
また、雑所得の計算上生じた損失は、他の所得と損益通算ができません。年間を通算して損失になった年は、20万円の合計に足す利益がない状態になります。
121条1項にはただし書があり、この提出不要の扱いから外れる場合を定めています。所得税法施行令262条の2が挙げるのは、同族会社の役員やその親族が、その会社から給与のほかに貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取る場合です。勤め先や自分の会社に資産を貸している方は、その所得が20万円以下でも申告が要ります。
給与等の収入金額が2,000万円を超える方は年末調整が行われませんので、取引の規模にかかわらず申告が要ります。
住民税には、この20万円の線が引かれていません。地方税法317条の2第1項は、給与だけ、または公的年金等だけを受けていてほかに所得がなかった方を除き、3月15日までにお住まいの市区町村へ申告書を提出することを定めています。所得税の確定申告書を出せば、その提出日に住民税の申告書も提出したものとみなされます(同法317条の3第1項)。所得税で申告しなかった年は、市区町村への申告が別に要ります。
二一次情報
所得税法 第36条第1項(収入金額)(抜粋)
第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
所得税法 第121条第1項・第3項(確定所得申告を要しない場合)(抜粋)
第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。
3 その年において第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が四百万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第二百三条の七(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が二十万円以下であるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。
所得税法 第121条第1項第2号(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合)(抜粋)
二 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条又は第百九十条の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。
イ 第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)に規定する従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。
ロ イに該当する場合を除き、その年分の給与所得に係る給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、小規模企業共済等掛金控除の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦控除の額、ひとり親控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額、扶養控除の額及び特定親族特別控除の額との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。
地方税法 第317条の2第1項(市町村民税の申告等)(抜粋)
第三百十七条の二 第二百九十四条第一項第一号に掲げる者は、三月十五日までに、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を賦課期日現在における住所所在地の市町村長に提出しなければならない。ただし、第三百十七条の六第一項又は第四項の規定により給与支払報告書又は公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から一月一日現在において俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この節において「給与」と総称する。)又は所得税法第三十五条第三項に規定する公的年金等(以下この節において「公的年金等」という。)の支払を受けている者で前年中において給与所得以外の所得又は公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかつたもの(中略)並びに所得割の納税義務を負わないと認められる者のうち当該市町村の条例で定めるものについては、この限りでない。
一 前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額
地方税法 第317条の3第1項・第3項(確定申告書の提出による申告書提出の擬制)(抜粋)
第三百十七条の三 第二百九十四条第一項第一号の者が前年分の所得税につき所得税法第二条第一項第三十七号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。
3 第一項本文の場合には、確定申告書を提出する者は、当該確定申告書に、総務省令で定めるところにより、市町村民税の賦課徴収につき必要な事項を付記しなければならない。
所得税法施行令 第262条の2(給与所得以外の所得が少額であつても確定申告書の提出を要する場合)(抜粋)
第二百六十二条の二 法第百二十一条第一項(確定所得申告を要しない場合)に規定する政令で定める場合は、次に掲げる者がその者に係る第一号に規定する法人から、法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等のほか、当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする。
一 法第百五十七条第一項第一号(同族会社の行為又は計算の否認)に規定する同族会社である法人の役員
二 前号の役員の親族であり又はあつた者
三 第一号の役員とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあり又はあつた者
四 第一号の役員から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持している者
国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(抜粋)
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません。
国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(抜粋)
大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は、確定申告をしなければなりません。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人
3 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人(注)
(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(所得金額の合計額に含まれない所得)(抜粋)
給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額には、次の所得は含まれません。
1 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの
2 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
3 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
4 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等
5 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
6 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)
国税庁 タックスアンサー No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合(抜粋)
多くの給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって源泉徴収された所得税額と納付すべき所得税額との過不足が清算されますので、原則として確定申告の必要はありません。
しかし、年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて、確定申告が必要となります(給与所得者で確定申告が必要な方の詳細については、コード1900「給与所得者で確定申告が必要な人」をご参照ください)。
雑所得に該当するもの
給与所得者の副収入としては、様々なものが考えられますが、例えば次のような所得については、一般的には、それぞれ雑所得に該当します。
1 インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
(具体例)
・ 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
(注) 生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。
・ 自家用車などの資産の貸付けによる所得
・ ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得
2 ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得
3 民泊による所得
(注) 個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。
4 NFTを組成して第三者に譲渡したことによる所得
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三仮想通貨・暗号資産の場合
日本円に出金した金額を合計して20万円と比べると、判定を誤ります。暗号資産どうしの交換や、暗号資産での決済でも利益は実現しますので、出金していない年でも線に足す利益が生まれます。所得税法36条1項が、金銭以外の物で収入する場合もその価額を収入金額とすると定めているためです。
もう一つ、証券口座の株と同じつもりで考えると行き違いが起きます。源泉徴収ありの特定口座で確定申告をしないことを選んだ株の利益は20万円の合計に入りませんが、暗号資産には源泉徴収の仕組みがなく、利益はそのまま合計に入ります。年内の交換・決済の履歴を取り出せるうちに保存しておくことが、判定の前提になります。
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