仮想通貨・暗号資産の経費を仕分けるイメージ。金色のローソク足チャートを映すノートパソコン、ハードウェアウォレット、2つの山に分けたレシートのアイキャッチ画像

仮想通貨・暗号資産の確定申告 Q&A

仮想通貨・暗号資産の確定申告 経費はどこまで認められる?

公開 2026年7月25日/最終更新 2026年7月26日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

暗号資産の売買では、買うときにかかった手数料は経費ではなく取得価額に含まれます。これとは別に、取引のためのパソコンや価格データ・損益計算ソフトの利用料は必要経費になります。ただし暗号資産の所得は原則として雑所得ですので、家事関連費の按分は青色申告者向けの緩和規定が使えず、施行令96条1号の区分要件だけで判断されます。

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解説

くわしい解説

「経費」より先に「取得価額」を押さえる

所得税法37条1項は、必要経費に算入すべき金額を二つ定めています。総収入金額を得るため直接に要した費用と、その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用で、雑所得の金額の計算もその対象です。

暗号資産で先に効いてくるのは前者、つまり譲渡原価です。買うときにかかった手数料は取得価額に含め、原価側で回収します。所得区分・取得価額の計算方法・損益を認識する時点といった暗号資産に固有の論点は、国税庁が「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」という別の資料で示していますので、下のリンクからご確認ください。

後者にあたるのは、取引のために用意したパソコンやモニター、有料の価格データ・分析ツールの利用料、損益計算ソフトの利用料といったものです。

按分の道は、雑所得だと一本しかない

マイニングをしている方の電気代、自宅で取引している方の通信費は、一つの支出が仕事と生活の両方にかかわる家事関連費です。

所得税法45条1項1号は、家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるものを必要経費に算入しないと定めています。その政令が施行令96条で、家事関連費のうち経費にできるものを二つ挙げています。一号は、主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分。二号は、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者について、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分です。

一号の「主たる部分」は、通達45-2 が業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしています。あわせて同じ通達が、5割以下であっても、必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えないとしています。

ただし二号が対象としているのは不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務で、雑所得は含まれていません。暗号資産の損益は原則として雑所得ですから、青色申告をしていても使えるのは一号だけになります。だからこそ、区分を数字で示せる状態にしておくことが要になります。マイニング機材を専用のコンセントにまとめて子メーターを付けておけば、電気代は数字で示せます。

必要経費になるかを判定する3段階のフロー図。売上のための支出か、生活と混ざっていないか、業務部分が5割超または明らかに区分できるか、を順に判定する
支出が必要経費になるかどうかは、この3つの関門で判断します。3つめが家事関連費の分かれ目です。

情報商材・サロン費はどこで線が引かれるか

通達は、業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額を、その習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り必要経費に算入するとしています。軸は二つ、その知識が業務の遂行に直接必要か、金額が通常必要とされる範囲かです。

国税不服審判所は、弁護士が大学院の修士・博士課程に支払った授業料について、専攻が弁護士業と関連性を有することは認めながら、むしろ自己研鑽のため進学したものと認めるのが相当で、業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められないとして、必要経費算入を認めませんでした。

暗号資産に引き直せば、価格データや損益計算のように取引そのものに組み込まれているものは説明が立ちます。自己啓発の色が濃い有料コミュニティや高額な情報商材は通りにくい部類で、金額が大きいものほど「通常必要とされるもの」の範囲かを問われます。

家事関連費の按分基準の例。家賃は床面積、電気代は使用時間、通信費は使用実績で按分することを示した3列の図
按分の基準は支出ごとに変えてかまいません。選んだ理由を残しておくことが要点です。

記録は取引所の年間取引報告書から

暗号資産の申告でいちばん大切なのは、取引所ごとの取引履歴です。年間取引報告書や全取引のCSVを毎年ダウンロードして保管してください。取引所が閉鎖したり、履歴の保存期間を過ぎたりすると、後から取り戻せません。複数の取引所やウォレットを使っている方は、移動の記録も残します。

取得価額が把握できなくなった場合の受け皿も、通達に用意されています。暗号資産の売買による収入金額の100分の5に相当する金額を取得価額として計算しているときは、これを認めて差し支えない——ただし実際の取得価額が分かるならそちらが原則ですので、履歴を残すに越したことはありません。

所得税と住民税は必要経費になりません。事業税は全額、固定資産税は業務用の部分が経費です。罰金・科料・過料は対象外で、業務のための借入金の利息は経費になります。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第37条第1項(必要経費)(抜粋)

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第37条第1項/同条第2項は省略

所得税法 第45条第1項第1号(家事関連費等の必要経費不算入等)(抜粋)

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第45条第1項第1号/第2号以下および第2項・第3項は省略

所得税法施行令 第96条(家事関連費)

第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条/所得税法第45条第1項第1号の委任を受けた規定

所得税基本通達 45-2(業務の遂行上必要な部分)

45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》関係/所得税法施行令第96条

所得税基本通達 37-24(技能の習得又は研修等のために支出した費用)

37-24 業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/09.htm)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第37条《必要経費》関係

所得税基本通達 48の2-4(暗号資産の取得価額)

48の2-4 暗号資産を売買した場合における事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、法第37条第1項及び第48条の2の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、暗号資産の売買による収入金額の100分の5に相当する金額を暗号資産の取得価額として事業所得の金額又は雑所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個2-12、課法11-3、課審5-6改正)
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/04-2.htm)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第37条第1項・第48条の2《暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法》関係

国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識(抜粋)

事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
必要経費の算入時期
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。
つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
注意事項
必要経費に算入する場合の注意事項については、次のとおりです。
(1)家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
(2)必要経費になるものとならないものの例
イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。
これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。
(注)青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされます。
ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
(注)不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額は、不動産所得の計算上必要経費になりますが、不動産所得の金額が損失(赤字)となった場合には、その負債の利子の額に相当する部分の損失の額は生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。
ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。
チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法37、45、51、56、57、70、70の2、所令96、所基通37-1、37-2、37-27、45-1、45-2 ほか

国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(抜粋)

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法35、67、69、120、203の2、204、232、所令196の2、196の3、197、所規40、102、所基通35-1~2、措法41の10、41の14、復興財確法28

国税不服審判所 平成15年10月27日裁決(裁決事例集 No.66-120頁)公表裁決事例要旨

弁護士業を営む請求人は、大学院の修士及び博士課程の授業料等並びに米国K大学への寄付金は業務遂行上必要な支出であるから事業所得の金額の計算上必要経費に算入される旨主張する。
しかしながら、修士及び博士課程の専攻は、請求人の営む弁護士業と関連性を有していることは認められるものの、むしろ請求人の自己研鑽のため進学したものと認めるのが相当で、また、当該寄付金の支出は、請求人の善意的心情からのものと認められ、いずれも業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められず、事業所得を生ずべき業務について生じた費用ではないから、所得税法第37条第1項に規定する必要経費とすることはできない。
出典:国税不服審判所ホームページ(https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0403130000.html)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第37条第1項/同法第45条第1項第1号(家事費、家事関連費)
国税不服審判所が公表する「裁決要旨」(争点や裁決内容等を短くまとめたもの)です。

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

仮想通貨・暗号資産の場合

仮想通貨・暗号資産の場合、ここが分かれ目

この分野でいちばん大事なのは、経費を積むことより、損益の計算そのものを国税庁の示す方法に合わせることです。取得価額の計算方法や、どの時点で損益を認識するかは、暗号資産に固有の論点として別資料に整理されています。ここを自己流でやると、経費をどれだけ丁寧に集めても申告全体が崩れます。

所得区分が雑所得であることは、損失の扱いにも及びます。国税庁は「雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません」としています。損が出た年に経費を積み上げても、その年のうちに使い切れなければ生かせない、ということです。家事関連費の按分で青色申告者向けの緩和規定が使えないのも、同じ所得区分に由来します。

実務としては、取引所ごとの年間取引報告書と全取引のCSVを毎年ダウンロードして保管することが最優先です。年間の取引が多い方ほど、損益計算ソフトの利用料は業務について生じた費用としての説明が立ちやすくなります。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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